遺伝子工学の応用
実際には、遺伝子工学技術のバイオメディカル分野への応用は、奇跡の薬こそ生み出さなかったものの、順調に進展しています。
これまでに、組換えDNA分子を用いて、予想通り大腸菌に新しいタンパク質をつくらせることに成功しており、その一部はすでに市販可能な状態であり、高い収益を生むことが判明しつつあります。
しかし、高価な失敗として途上で断念されたものもあります。
組み換えDNAのその他の応用分野には、バイオメディカル製品ほどの華々しさはありません。
酵素、化学薬品、材料タンパク質などを生産する細菌や酵母の遺伝子操作は、2、3の例外を除いて、バイオメディカル製品ほどマスコミの注目を集めませんでした。
しかし、当初から着実な研究の対象であり、それに対する期待も度を過ぎたものではありませんでした。
この理由の1つは、その分野での成功が、インシュリン遺伝子のクローニングといったような華々しさに欠けていることです。
もう1つの理由として、この分野の研究は、大手の食品・化学企業の研究所、またはそのような研究所が全面的に出資している専門会社が進めていることがあげられます。
こうした施設で働いている研究者は、資金集めのためにマスコミの注意を引きつける必要はなく、親会社の方には自分たちが取り組んでいることを競合他社に知られたくないという思いもあります。
こういった研究は、極秘とはいかないまでも、非公開の場合が多いのです。